寄稿「ウォーキングで感じる季節の移ろい」

福祉ネット広報紙「ささえあい」の責任者から、私にも原稿を書いてほしいと依頼がありました。
寄せられた原稿を入力していると、様々な福祉活動に関する会議や情勢などの内容が多くて一般的には少し固い話が多いです。
「ささえあい」のファンからも、もう少し柔らかい内容の話を掲載してほしいと言われてるので、私はウォーキングで感じる季節の移ろいを書きました。
一足先にブログに掲載します。



『ウォーキングで感じる季節の移ろい』
気が向いた時や時間のある時に、デジカメを片手に家の周辺の田園地帯をゆっくりとウォーキングしています。
 これから厳しい冬に向い、周りの風景も暗い緑色と茶色に染まって行きます。そんな中でも、陽だまりのあぜ道や道端にはタンポポホトケノザオオイヌノフグリなどの野の花が咲いていて、野草のたくましさとけなげさに顔もほころびます。


 早春になると、梅やコブシが咲き、小鳥のさえずりも少し大きくなってきます。待ち焦がれていた桜の季節には、丸坊主だった落葉樹が芽吹き始めて山里はうっすらと萌黄色に変わり新しい息吹を感じながら歩きます。この時期になると田んぼに水が入り、やがて田植えが始まります。茶色一色だった田んぼは瞬く間に一面淡い緑色に染まり、小鳥たちのさえずりも一段と賑やかになって山里が活気づいてきます。


 やがて新緑の季節に変わり一番過しやすい季節を迎えて、野山や田んぼが緑色に輝きを増して“みんな生きている”って実感します。
カエルの合唱が聞こえるのもこの時期の風物詩です。
 梅雨の時期はちょっと憂うつ・・・梅雨の晴れ間に歩きますが、植物はたっぷり水をもらってキラキラ光っています。
特にあじさいは七色に輝いて見事な花を見せてくれ、カエルも満足げにケロケロと鳴いています。


 夏になると早朝から太陽がギラギラ照りつけて、あまりの暑さに人も草木もうなだれてしまいます。夕方歩くようにしていますが、さすがに稲は元気です。太陽をいっぱいに浴びてグングン育っています。
稲穂を揺らして水田を渡ってくる涼風に、木陰でひと息入れてまた歩き出します。
“うるさい!”と思うほど毎日蝉の大合唱が聞こえてきますが、蝉にとっては繁殖の時期で一番大切な短い夏なんですよね。


 秋は待望の収穫の季節です。黄金色の稲が輝きを増して山里にコンバインの音が軽やかに響いて、一斉に稲刈りが始まります。
イナゴやバッタ、コウロギなどの昆虫が慌てて飛び出し、野鳥がすかさず急降下して捕えます。
9月半ば頃になると美味しい新米が私たちの食卓にあがります。
銀シャリの味を噛みしめながら農家の皆さんに感謝しながら幸せを感じます。
 稲刈りの終わった田んぼは少し寂しい風景に変わり、お彼岸になるとあぜ道や道端に鮮やかな彼岸花が咲き揃い、見事な景観を見せてくれます。


しばらくして野山が少しずつ色付き始め、栗や柿が色づき、コスモスが風に揺れて秋たけなわです。山里が日を追うごとに鮮やかな錦色に染まっていきます。
草藪の高い所に紫色のアケビが口を開けて白いまゆのような果実が今にも落ちそうです。種が多いですが甘くて美味しいです。珍しく今年は食することが出来て嬉しかったです。
河川にカルガモが何十羽も羽を休めている所に遭遇したことも度々ありました。
住宅地や畑の縁に色々な菊が咲いていて、しばし足を止めて眺めたりします。


こうして季節の移ろいを肌で感じながら、色々な出会いを・風景を・草花や昆虫をカメラに収めながらのウォーキングはストレス解消はもちろんのことですが、自然を見直す良い機会になっています。