講演「私たちの年金」

昨日、全日本年金者組合千葉・東金支部「第12回定期総会」が行われました。
その中で「私たちの年金」というテーマで、社会保険労務士(しま氏)の講演がありました。
私達にとって年金問題は重要でありますが、その中身は複雑で良く分かりません。
しかし、年金制度がどんどん改悪されて毎年年金が減額されている現実があります。
一方、国民健康保険料や介護保険料は毎年値上げされている一方、介護サービスは低下し、介護ヘルパーの待遇も低下しています。
今こそ、国の無駄遣いを止めて安定した年金制度に戻してほしいと思います。
今、年金を受給している人達は、戦後の日本の繁栄を支えて一生懸命働いてきた人達ですから、このままでは報われません。
お話と資料を元にまとめてみました。

公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)は、被保険者の老齢・障害・死亡という保険事故について保険が給付されます。
保険事故別の受給者数の割合
国民年金・・・老齢年金93.5% 障害年金6.1% 遺族年金0.4%
厚生年金・・・老齢年金82.4% 障害年金1.3% 遺族年金16.2%
(平成22年度末実績:厚生労働省資料)
この中で国民年金の遺族年金は、男子は駄目・子供が18歳以上は駄目で、受給している人は殆んどいない。
1.老齢基礎年金(国民年金
受給額は40年加入で満額年金が786,500円で1ヶ月の金額
約66,000円。
70歳以上の生活保護の単身者扶助が65,870で、老齢基礎年金(国民年金)を参考にした。
老齢基礎年金(国民年金)のみの受給者が1000万人おり、
平均月額が49,371円。
(平成22年)
2.老齢厚生年金
65歳の平均年金月額・・・男性:192,323円 女性:111,670円
日本の年金の特徴は
(1)額が少ない
(2)男女の格差が大きい
(3)資格期間が25年と長い
●受給資格期間とは
保険料納付済み期間+保険料免除期間+カラ期間の合計期間を
 いいます。
カラ期間とは
*昭和61年4月以後、国民年金1号として任意加入できたのに
加入しなかった期間
 (海外在住期間・平成3年3月以前の学生など)→平成3年4月
からは強制加入。
国民年金2号(厚生年金・共済年金としての20歳前と60歳以後
の期間
*昭和61年3月以前、国民年金に任意加入出来たのに加入
しなかった期間
 (厚生年金・共済年金加入者の配偶者・学生)


公的年金は「請求しないともらえない・黙っていると減らされる」
平成17年に厚生年金が出来て、同年6月から厚生年金が適用
されました。
平成17年6月〜平成20年8月までに納めた保険料は全部戦費に
使われた。
戦中に勤務期間のある方は請求出来ます。
消えた年金については年金時効特例法(平成19年7月施行)
により、5年の時効が撤廃され、受給権発生まで遡って支給される。
本人死亡でも遺族に未支給年金として給付される。
●年金減額の動向
(1)過去の物価下落時に、特例法で年金を減額しなかった分(2.5%)を2013年10月からの 減額を(13年10月に1%・14年4月に1%15年4月に0.5%)社会保障と税の一体化で11月16 日の衆議院本会議で可決した。
(2)年度の物価下落部分を翌年度4月から年金減額
 今年、2012年4月からは0.3%減額実施
 (4・5月分については6月支給から減額開始)
(3)マクロ経済スライド・・・年金の実質価値維持が出来なくなる
   システム(20年行う)
 2004年に年金改正で導入された「年金自動減額システム」で、
 経団連は受給中の原稿年金額を少なくとも20%減額すると
 主張している。
 現在は、物価上昇した場合のみ発動し、物価上昇しても0.9%は
 年金は増えない。
 例えば、1%物価上昇しても0.1%しか年金額は増えない仕組み
(1%−0.9%=0.1%)
 昨年来、物価下落した場合も発動することが発議され、警戒が
 必要です。
 例えば、1%物価が下落した場合、物価下落分に0.9%+して
 年金を1.9%減額する。
●年金確保支援法(国民年金保険料の後納制度)について
(1)国民年金保険料は、過去2年間だけ払込可能であるが、
 この法律によって過去10年まで遡って払込が可能となる。
 法律の施行日・・・平成24年10月1日
(2)対象者は老齢基礎年金を受給していない人で
 *20歳以上〜60歳未満・・・過去10年以内に納め漏れがある人
 *60歳以上〜65歳未満・・・上記(1)の他に任意加入中に
  納め漏れがある人
 *65歳以上・・・任意加入中の人
(3)後納する効果
 *受給資格期間25年に不足している人・・・「受給資格獲得」の
  可能性
 *受給資格期間25年は満たしている人・・・「年金アップ」
  (1ヶ月分後納で年額約1,638円増加)
(4)実施期間
 *平成24年10月〜平成27年9月までの3年間
(5)後納保険料額
 *平成24年度・・・平成22年度分までは加算額無し、しかし
  それ以前は加算額あり


※無年金者118万人・低年金者(国民年金のみの方1,092万人・
 平均月受給額4,93万円)
 を解消し、制度間、男女間格差を改善する最善策は、年金制度の
 底上げ(最低保障年金)しかない。
★全日本年金者組合の提案内容
 *年金額・・・一人8万円(納付済みの保険料部分は8万円に
  上乗せ)
 *財源・・・一般税(消費税は使わない)
 *移行措置・・・制度発足と同時に、新制度での給付開始
 *受給要件・・・10年以上日本に居住(国籍条項なし)
★高齢者は年金が命綱であり、理不尽な年金減額には「NO」と
 発言しましょう。


厚生年金基金は1ヶ月加入していても受給出来ますから
 「企業年金連合会 03-5401-8711」へ
  問い合わせてください。