広島平和記念式典


今日も朝から真夏日で暑いです。
NHKで午前8時から「広島平和記念式典」の模様が放送されました。
今年の原爆死没者は5,511人で、合計303,195人にのぼるそうです。



松井一美 広島市長さんの「平和宣言」がテレビ画面の下にテロップで流れました。
私はただ聞き流すだけでは忘れてしまうので、昨年からブログに書き留めておくことにしています。
少し長くなりますが、ブログを訪問してくださる方に心に留めていただけたら幸いです。

1945年8月6日午前8時15分、澄み切った青空を切り裂き、かつて人類が経験したことのない「絶対悪」が広島に放たれ、一瞬のうちに街を焼き尽くしました。
朝鮮半島や、中国、東南アジアの人々、米軍の捕虜などを含め、子供からお年寄りまで罪もない人々を殺りくし、その年の暮れまでに14万もの尊い命を奪いました。
辛うじて生き延びた人々も、放射線の障害に苦しみ就職や結婚の差別に遭い、心身に負った深い傷は今なお消えることがありません。
破壊し尽された広島は、美しく平和な街として生まれ変わりましたが、あの日「絶対悪」に奪い去られた川辺の景色や暮し、歴史と共に育まれた伝統文化は二度と戻ることはないのです。
当時17歳の男性は「真っ黒の焼死体が道路を塞ぎ、異臭が鼻をつき、見渡す限り火の海の広島は生き地獄でした」と語ります。
当時18歳の女性は「私は血だらけになり、周りには背中の皮膚が足まで垂れ下った人や、水を求めて泣き叫ぶ人がいました」と振り返ります。
あれから71年、依然として世界にはあの惨禍をもたらした原子爆弾の威力をはるかに上回り、地球そのものを破壊しかねない1万5千発を超える核兵器が存在します。
核戦争や核爆発に至りかねない数多くの事件や事故が明らかになり、テロリストによる使用も懸念されています。
私たちは、この現実を前にした時、生き地獄だと語った男性の「これからの世界人類は命を尊び、平和で幸福な人生を送るため、皆で助け合っていきましょう」という呼び掛け、そして血だらけになった女性の「与えられた命を全うするため、次の世代の人々は皆で核兵器はいらないと叫んでください」との訴えを受け止め、更なる行動を起こさなければなりません。
そして、多様な価値観を認め合いながら「共に生きる」世界を目指し努力を重ねなければなりません。
今年5月、原爆投下国の現職大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領は「私自身の国と同様、核を保有する国々は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」と訴えました。
それは被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という心からの叫びと受け止め、今なお存在し続ける核兵器の廃絶に立ち向かう「情熱」を米国をはじめ世界の人々に示すものでした。
そして、あの「絶対悪」を許さないというヒロシマの思いがオバマ大統領に届いたことの証でした。
今こそ、私たちは非人道性の極みである「絶対悪」を、この世から消し去る道筋をつけるために、ヒロシマの思いを基に「情熱」を持って「連帯」し、行動を起こすべきではないでしょうか。
今年、G7の外相が初めて広島に集い、核兵器を持つ国、持たない国という立場を超えて世界の為牲者に広島・長崎訪問を呼び掛け、包括的核実験禁止条約の早期発効や、核不拡散条約に基づく核軍縮交渉義務を果たすことを求める宣言を発表しました。
これは正に「連帯」に向けた一歩です。
為牲者にはこうした「連帯」をより強固なものとし、信頼と対話による安全保障の仕組みづくりに「情熱」を持って臨んでもらわなければなりません。
そのため、各国の為牲者に改めて被爆地を訪問するよう要請します。その訪問は、オバマ大統領が広島で示したように必ずや、被爆の実相を心に刻み、被爆者の痛みや悲しみを共有した上での決意表明につながるものと確信しています。
被爆者の平均年齢は80歳を超え、自らの体験を生の声で語る時間は少なくなっています。未来に向けて被爆者の思いや言葉を伝え、広めていくには若い世代の皆さんの力も必要です。
世界の7千を超える都市で構成する平和首長会議は世界の各地域では20を超えるリーダー都市が、また、世界規模では広島・長崎が中心となって若者の交流を促進します。
そして、若い世代が核兵器廃絶に立ち向かうための思いを共有し、具体的な行動を開始できるようにしていきます。
この広島の地で「核兵器のない世界を必ず実現する」との決意を表明した安倍首相には、オバマ大統領と共に、リーダーシップを発揮することを期待します。
核兵器のない世界は、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する世界でもあり、その実現を確実のものとするためには核兵器禁止の法的枠組みが不可欠となります。
また、日本政府には平均年齢が80歳を超えた被爆者をはじめ、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、その支援策を充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めます。
私たちは、本日、思いを新たに原爆犠牲者の御霊に心からの哀悼の誠を捧げ、被爆地長崎と手を携え、世界の人々と共に核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを誓います。